高校物理の力学の範囲で宇宙について学ぶのですが、
そこではケプラーの法則というものがあり、大学の入試問題でも出されることがあります!
実際私も大学受験の勉強で何度も問題を解きました。
法則自体は単純・簡潔なのですが
「あまり理解できていない」
「よくわからないけど名前は知っている」
そんな人も多いです(汗)
今回はそんなケプラーの法則をわかりやすく説明していきます!
ざっくりとケプラーの法則について書くとこんな感じです。
ヨハネス・ケプラーによる惑星の運動に関する法則
ケプラーの法則には第1~第3までの法則があります。
なるほど、惑星の運動に関する法則なのですね!
第1法則:楕円軌道
惑星の公転は太陽を一つの焦点として楕円軌道を描く
※もう片方の焦点には何もない
上の図のように、惑星の公転軌道は必ず太陽を一つの焦点とした楕円軌道になっているという法則です。
それまでは惑星の公転軌道は真円であると考えられていたので観測結果にズレが生じていたのですね。(惑星の逆行の計算結果にズレ)
第2法則:面積速度一定の法則
太陽から惑星に引いた線分の(単位時間に)描く面積は一定
単位時間に描く面積とは下図の青色の扇形の面積のことです。
ここで単位時間に進む距離が関係していることに気づきましたか?
単位時間に進む距離とは下図の黒線の部分です。これは扇型の弧の部分にあたります。
\(速さ = \frac{距離}{時間}\)の式でわかるように単位時間で考えると\(速さ = 距離\)になります。
こういったことから面積速度一定の法則、という速度という言葉が使われているのもイメージしやすいのではないでしょうか?
この面積速度の速度とは実際に計算してみると、速度が関係していることに気づきます。
導出してみましょう。
ケプラーの第2法則の導出・計算
まず前提として非常に短い時間\(Δt\)の間に速度\(v\)で惑星が運動しているとします。
非常に短い時間では惑星は直線に動いているとしてよく、面積\(S\)は次の図の三角形とみなしてよいのでその面積を求めてみましょう!
\(\frac{1}{2} ab \sin \theta \)
この公式を利用すると・・・
\(S = \frac{1}{2} a × v \Delta t × \sin \theta \)
単位時間ということは\(Δt = 1\)とするので
面積\(S\)が出ましたね!
第3法則:公転周期と軌道長半径
公転周期の2乗は軌道長半径の3乗に比例する。
※軌道長半径=楕円の半長軸
式で書くと以下のようになります。
\(\huge{\frac{T^2}{a^3} = k (一定)}\)
公転周期:\(T\)
軌道長半径:\(a\)
第3法則については「公転周期の2乗は軌道長半径の3乗に比例する。」ということと、この式で全てです。
他にいうことがありません(笑)
この式のポイントは
例えば火星の公転周期と軌道長半径がわかったので\(k\)の値が求まったとしましょう。
そして「木星の軌道長半径はわかったけど公転周期がわからない!」
という時にはこのケプラーの第3法則を使うと求めることが出来ます!
惑星は太陽から遠い惑星(軌道長半径が大きい)ほど周期が長いことはケプラーの法則が発見される以前から知られていました。
しかしその公転周期と軌道長半径との間の厳密な関係式はわからないままでした。
このケプラーの第3法則の発見によって簡単な比例式で表せることがわかったのです。
ケプラーの法則まとめ
惑星の公転は太陽を一つの焦点として楕円軌道を描く
【第2法則】
太陽から惑星に引いた線分の(単位時間に)描く面積は一定
【第3法則】
公転周期の2乗は軌道長半径の3乗に比例する。
ケプラーの法則の歴史的背景
この法則がどのようにして発見されたかというと・・・
正確な天体観測で有名なティコ・ブラーエによる火星観測のデータが残っていました。その時の計算で、惑星の公転軌道は楕円であるとしたところ、その観測結果が正確に説明できることがわかったことがきっかけで発見された法則です。(それまでは惑星の公転軌道は完全な円(真円)だと考えられていました)
ケプラーの法則が発見された時期は、天動説よりも地動説の方が正しい!と考えられ始めた時期でもあります。
しかし地動説では実用的ではない現象もあり決定的に『地動説が正しい』とは至っていなかったのです。
地球は太陽の周りを完全な円(真円)の軌道で回っていると考えていたからです。
真円だと地動説でも計算と観測にズレが生じてしまいますが、そのズレを正したのがケプラーの法則なのです!
ケプラーの第1法則では「惑星の軌道は楕円である」となっていて、実際には惑星(地球)は楕円軌道をとっていたのでズレが生じていたんですね。